儀兵衛の「志」

History儀兵衛の「志」

正しく伝わっていないお米の現状

日本の米業界はお米の自由化以降、効率化と工業化によってお米本来の味覚を犠牲にしたことで、縮小の一途をたどってきました。この現実を改善するために、会社を立ち上げました橋本儀兵衛と申します。

私は、実家である京都で代々続くお米屋の長男として生まれました。大学を卒業し、大手通販会社に勤めた後、家業であるお米屋に戻り、独学でお米の研究をし続けました。その結果、得たお米がおいしくなる目から鱗のような新しい発見や、米業界に感じた矛盾点を、過去の常識や慣習にとらわれず、自由な発想をもってお客様においしいお米を届けたい。そう強く想い、インターネットでお米のおいしさを発信していくことを決めました。

皆さん、「神は細部に宿る」という言葉をご存じですか?
本当の仕事とは、目に見えないところにあるという意味で、元々は米業界も全国にある沢山のお米屋さんがそれぞれの工夫を凝らして皆さんにおいしいお米を届けていました。ところが、お米の自由化という法改正で誰もがお米を販売できるようになった今、産地・銘柄でお米を販売することでしか差別化ができなくなったのです。また、単純に中身へのこだわりを放棄して、とにかく安価でおいしくないお米が世の中に流通したことで、お米本来の味を追求し続けるお米屋さんはたちまち価格で勝負できなくなりました。
私は昔から「物事の本質とは何か?」という考えをもとに仕事に取り組んでおり、産地・銘柄だけではなく、農家さんのつくった素材の味をどうすれば100%おいしい状態でお客様にお届けできるのだろうかと考え続けました。その結果、一つのことに特化して研究を続けていくことで、決して目には見えませんが、おいしいお米に不可欠な4つのこだわりにたどりつくことができました。京セラの故・稲盛名誉会長の言葉を借りるなら「叡知の蔵を開く」とでも言いましょうか。そんな目には見えない仕事を、八代目儀兵衛は創業以来ずっと続けてきております。

例えば、赤ちゃんは感覚でごはんを食べています。おいしいと感じるものは無意識においしく食べていますし、おいしくないもの、身体に合わないものは無意識のうちに食べようとはしません。そんな経験をされたり、そんな赤ちゃんの姿を見たことはありませんか?
八代目儀兵衛のお米は、赤ちゃんにも無意識においしいと感じてもらえるお米のみを販売しております。そんなお米をもっともっと日本人のみならず、世界中の人たちにも広めていきたいと考えております。是非、皆さんにも儀兵衛体験をしていただき、今回を機に改めてお米のおいしさとは何かを考えていただくきっかけが生まれると幸いです。

お米は「日本人にとっては主食である」と言われ続けてきました。–しかし、個食化が進むことでお米を炊飯する手間が煩わしくて食べなくなったり、パンや麺類といった代替品による食の欧米化により、お米を主食としない生活が我々日本人とって当たり前の世の中になってきたと思います。最近ではお米の糖質の高さがクローズアップされ、そもそも若い女性には敬遠されがちな食材になってしまっています。
かくいう私自身もパンや麺類を食べないわけではありません。どちらかと言えば好きな方だとさえ思います。ですが、一日一食はおいしいごはんを必ず食べております。
最近のお米の消費量の調査では年々消費量が少なくなっており、50年前に比べると半分以下になっているそうです。

では、生産現場はどうでしょうか?
お米の生産地の過疎化や生産者さんの高齢化、地球規模の温暖化によって昔とは環境も大きく変わり、真夏には気温が40度近くにまで上昇するなど、お米品質を向上させていくには本当に厳しい状況と言えるのです。そして、それ以上に日本人の米離れが顕著になり、もはや産地で新しい品種開発をしても、その違いを気にすることやそこに興味をもつ人も少なくなってきております。私個人的にも、相対的に昔と比べて本当においしいお米の生産量が少なくなったなと実感しております。これからは食糧難の観点から生産者さんの手間を省きつつ、さらに大量生産できるお米へと世の中がシフトしていく現実があります。食味よりも収量を優先する、そんな時代になっているのです。

子供たちはごはんに味がないから食べないという事実

子供たちはごはんに味がないから食べないという事実

私がお米マイスターとして小学校の食育授業を担当した時のことでした。
まず、今朝、朝食を食べてきた人に手を挙げてもらいましたが、結果は半数ほど。そして、ごはんを食べてきた人数を確認すると、さらに半分以下。やはりごはんは手間がかかるものとして、若い夫婦には敬遠されがちな食材だと感じました。それよりも衝撃だったのは、「どうしてごはんを食べないの?」と聞いたら、「白ごはんには味がない」「コンビニおにぎりの方が味がしておいしい」「ふりかけをかけないと食べられない」といった答えが返ってきたのです。そもそもごはんの素材の味を全く理解していなかったのは、私がお米屋で育ってきているせいか、そんな認識すらもっていなかったので非常に残念な想いをして帰ってきました。
たまたま私が地元の京都の小学校で経験したことではありましたが、全国にも同じように感じている子供たちは沢山いるんだろうと思います。そんな子供たちが大人になった時には、お米を食べるという選択肢がすでに無くなっていると考えても過言ではありません。

事実、食べて本当においしいと思えるお米よりも、クレームが来ないようにおいしさを犠牲にして必要以上に白く精米されたものが出回り、スーパーや量販店では激安のお米ばかりが購入されています。おいしいお米を選ぶという選択肢が抜け落ちているだけではなく、もはや何がおいしいかすらわからなくなっている、そんな現実があるのではないでしょうか。

お米は産地・銘柄でしか評価されないという事実

お米は産地・銘柄でしか評価されないという事実

皆さんはお米を買う選択肢の一つに、産地を気にすることもあると思います。また、お米に関してはこしひかりが一番おいしい品種だと思い込んでいる人もいらっしゃると思います。
それが悪いわけではありませんが、産地・銘柄の情報だけでおいしさを計ることはできないのです。知人やメディアから「おいしいお米の産地を教えて!」とよく言われます。それなりに産地ごとに特徴があるので、タイプ別に仕分けすることはできますが、全てのお米がそれに当てはまるものでもありません。隣同士の田んぼですら、お米の味は異なるのです。また、土壌環境だけではなく、使っている肥料や生産者さんの考え方もお米の味わいにかなり影響します。そして、お米の買取価格は都道府県ごとに値段が変わるため、有名産地であれば高く買取してもらえますが、無名産地は努力しておいしいお米をつくっても、評価されずに安く買取されるという現実もあります。現状のお米の評価は食べておいしいお米より、産地や見た目による等級検査だけで評価されているところに、日本の米農業の深い問題があると言えます。
お米は一粒一粒に産地や品種名が書いてあるわけではないので、皆さんは自分が知っている知識の中で選ぶしかありませんし、店舗に出かけても有名産地のお米と地元のお米しか売ってないため、その中でしか選ぶことができません。事実、インターネットで検索すると有名ブランドのお米か、価格の一番安いお米しか上位に出てこないので、選択肢が本当に限られてしまっています。どのお米が自分にとって最適なのかわからない、それが今の日本におけるお米の事実です。

精米機によって味や食感が異なるという事実

精米機によって味や食感が異なるという事実

皆さんはお米の精米について深く考えたことはありますか?
皮のついた玄米を摩擦して剥くことを精米と言います。ここまでは間違ってはいません。ただ、精米機メーカーによって機械のサイズが大小あり、剥き方によって味や食感が大きく異なることを知りました。精米したてのお米はなんだか温かくて、それにより剥きたて感や鮮度が助長され、おいしいイメージがあります。私もずっとそう思ってきました。ですが、実際はそうではありませんでした。
お米屋で仕事をしていたある時に、得意先様から「いつものお米と味が違う。混ぜもんしたんと違うか?」とどやされたことがありました。しかし、私たちはそこのお得意様には同じ産地、生産者に限定していたものをお届けしていたにもかかわらず、このようなクレームを受けた時に気付いたことは、お米が足りなくなったので、別の精米機で精米して納品したことでした。
その当時、メーカー違いとサイズ違いの精米機が3台あり、その機械に同じ産地、生産者さんのお米を精米したら全く違うお米の味・食感になった事実があります。そこから深く研究した結果、いかに温度を上げずに精米した方が、よりおいしいお米に仕上がるという驚愕の事実を自ら発見いたしました。世の中の味のしないお米のほとんどは、精米によって素材本来の味を削ってしまっているのです。

お米はブレンドした方が甘みが増すという事実

お米はブレンドした方が甘みが増すという事実

食品業界には、素材の味を組み合わせてより立体的で深みのある味に仕上げるブレンド技術が当たり前として存在します。和食に代表されるお出汁は、昆布とかつおの削り節によってさらに深みのある味になります。皆さんが普段から飲むコーヒーもブレンドすることで、味のバランスを整えたり、特徴を出すことでその店の個性を打ち出すことができます。
一方でお米においては、ブレンドすることでまがい物扱いされたり、おいしいという評価を得ることがほとんどありませんでした。お米ではシングルオリジンの味を好む人が多いのも事実ですが、本来お米という繊細な味覚を有するものには、より深い味を独自のブレンド技術で生み出すことがお米屋の個性を出すことでもあり、斜陽産業でもあるこの米業界の唯一の生き残り方法でもありました。
ミシェラン3つ星の祇園さ々木さんとは先代からお付き合いがあり、私が考案したブレンド米を何十回も試食していただき、試行錯誤の上、お店でも使っていただけるレベルの商品になりました。さ々木さんはいつも「旨いは甘いんや!」とおっしゃており、私の記憶にも深く刻み込まれています。その言葉を基に、年間ブレンド試食会数は1,000回以上実施しております。お米はブレンドした方が甘みが増すという事実は、さ々木さんのお店で使っていただいたことで証明できたと言っても過言ではありません。

お米の炊き方のマニュアルが人によってバラバラだという事実

お米の炊き方のマニュアルが人によってバラバラだという事実

皆さん、お米の炊き方はどのようにして炊いていらっしゃいますか?ご両親から教えていただいたやり方や、料理本に書いてあるものを実践しているなど、さまざまな経緯でお米を研いだり炊いたりされていらっしゃるかと思います。でも、どれが一番ベストであるかは誰も知らないのです。私も過去に料理本を見たことがありますが、一合も本によっては140gだと言い切るところもあったり、計量カップ一杯が適量だという本もあったりと、情報はさまざまです。また、お米の研ぎ方も最近は精米機の性能が上がっているため、お米は研がずにかき混ぜるだけでいいとか、どの方法が一番おいしいのかはそれぞれの味覚に委ねられるのかもしれません。しかし、業務用に関しても基本は同じではありますが、早く炊飯するためにお米を金ザルで研いだり、水を切った状態で放置していたり、私から見たら間違いだらけの炊飯です。そうであるにも関わらず、おいしくなかったらお米屋のせいにされることも多々ありました。
事実、外食をした時に、本当においしいと思えるごはんを提供してくれるお店はほんの一握りです。どれだけいい素材を使っていても、おいしくする研ぎ方・炊き方を知らなければ、全く意味がありません。我々お米屋も、よりおいしくなるようにいつもお伝えしていますが、中には見向きもしてくれない料理人さんもいました。そんな現実もあるということを、皆さんにも知っておいていただければと思います。


以上の米業界の現実を何とかして解決し、本当においしいお米、そしてそのお米を使って炊いたおいしいごはんを八代目儀兵衛がインターネットを通じて、日本中の人達、日本のお米を愛している世界中の人達に伝えていきたい。それが実現できれば、日本人のお米離れも無くなり、世界中の人達からもっと求められるものになるのではないかと思い、八代目儀兵衛が4つのソリューションをもってお米本来の味を世の中に伝えていきたいと考えています。

儀兵衛のこだわり

儀兵衛のこだわりStory

創業以来、みなさんにおいしいお米を食べてもらうため、4つのこだわりを徹底しております。

お米の目利き力

お米の目利き力

有名な産地だけにこだわらず、温暖化や異常気象でもお米の食味が変わらない地域、集落、生産者にまでこだわり、儀兵衛の基準でおいしいと思うお米だけを仕入れます。

一般的なコメ卸業者は、有名産地、有名銘柄から選び、食味計を使用した成分分析のみでお米を選定、目利きをしています。対して八代目儀兵衛は、25年間蓄積された独自の食味のデータベースを基に、産地・銘柄だけで選ばずに地域を発掘し、橋本儀兵衛をはじめとした8名の五つ星お米マイスターの食味を通して、常に儀兵衛基準のおいしいお米を食味優先で仕入れています。また、温暖化や異常気象の気候環境において、複数年連続してお米の食味が変わらない地域・生産者に限定して契約栽培を結び、生産者へ毎年のお米の味のフィードバックを行うことで、希望の品質に近づけた生産を実現しています。
それ以外にも、粒の大きさは、ライスグレーダー1.9以上の設定(※品種による)や極力農薬を使わないお米の選定のための栽培履歴の提出、15℃以下の産地保管の条件指定など厳格なルールを運用しています。

独自の精米技術

独自の精米技術

100%の素材の味を100%に近い状態にするために、お米に負担を掛けない非効率な低温精米でお米本来の味を再現します。

一般的なコメ卸業者は、効率化された工業品としての精米工程であり、お米のおいしさより「お米の白さ(見た目)」が優先されています。対して八代目儀兵衛は、10倍以上の手間と時間をかけ、米職人があらゆるアナログ調整を行い、お米に負荷をかけない精米を実現し、お米本来のおいしさを引き出しています。

米職人の技 -アナログの調整-

時期や玄米保管倉庫の外気温の変化に応じて、年3回、精米の圧力や流量などをチェックし、精米ロットごと調整しています。
精米温度が35℃以上になると甘さが激減しますが、一般的な精米工場に空調設備はなく、業務用精米機での精米は、精米温度が40℃以上になること多々があります。対して八代目儀兵衛は、室温を20℃に設定し、年間を通して精米に最適な環境をつくり、独自の精米方法「美肌精米(R)(低温低速精米)」を確立しています。
「美肌精米(R)(低温低速精米)」は、精米温度が冬30℃以下・夏34℃以下、お米の白さの精米白度基準+18(±1)の基準で精米することで、米粒の表面にある保水膜が保たれて「つるっ」とし、食感、のど越しがよく、甘さを感じるお米に仕上がります。

寒暖差の激しい日本の季節において、常に室温を20℃に保つことで、精米に最適な環境をつくります。
寒暖差の激しい日本の季節において、常に室温を20℃に保つことで、精米に最適な環境をつくります。

※日本工業精米会の基準は、「精米白度差+20(±1)」が一般推奨とされ、見た目は白いが味のないお米になることが多い。

奥深きブレンド技術

奥深きブレンド技術

素材の味をさらに向上させるために、お米を1%刻みでブレンドすることで、シングルオリジンでは全く感じることができない奥行きのある甘いお米や、その料理を最大限に引き出せるお米を提供します。

一般的なブレンド米は、低価格の商品をつくるために、ベースとなるお米の味を薄める「引き算」のブレンドです。対して八代目儀兵衛は、宇治茶やお出汁のように、素材の持ち味を最大限にいかし、おいしさをかけ合わす「掛け算」のブレンドです。ブレンドは、年1,000回以上の食味によって蓄積されたデータベースを基に、年3回、季節ごとに行い、1%刻みのブレンド違いで奥行きのある甘いお米や味わい深さを追求し、理想の味に仕上げています。また、ミシュラン星付きの一流料理人から外資系航空会社のファーストクラスの機内食、外食レストランチェーン、産業用給食まで、料理ジャンルや提供シーンに応じて、プロの料理人が持つこだわりを形にしたブレンド米をつくっております。

おいしく炊く炊飯技術

おいしく炊く炊飯技術

家庭用・業務用・工業用に関わらず、本当においしく炊ける炊飯のマニュアルを提供している。

行列が絶えない人気店としてメディアに取り上げられる飲食店「米料亭」を運営する当社には、「ごはんクオリティ」を追求した独自の炊飯メソッドがあります。最上級のごはんクオリティのための、洗米方法、浸水方法、水加減、火加減、蒸らし時間など、細かい炊飯工程のノウハウが凝縮。家庭用炊飯器、土鍋炊飯釜、業務用炊飯器、工業用炊飯機器などの環境に応じて、「ごはんをおいしく炊く炊飯マニュアル」を提供しています。